九大原子核セミナー

九州大学の原子核理論と原子核実験の共同開催のセミナー

第930回九大原子核セミナー

2016年3月2日(水) 13:30〜14:30, 14:50〜15:50

講師:肥山詠美子(理化学研究所仁科加速器センター)

演題:少数多体系物理の最前線

場所:理学部 物理学部門 物理 第2講義室 (ウエスト1号館2階 W1-B-212室)

概要:
 現代物理学における最近の重要課題の一つは、ミクロの世界の様々な少数量子系(特に、3体系・4体系)のシュレディンガー方程式を精密に解いて研究することである。少数多体系のシュレディンガー方程式は、多くの場合、変分法を用いて解くことになるが、その際に最も重要なことは、1)全系の物理的状況に適した基底関数を用いる、2)エネルギー行列要素多重積分が容易に計算される、3)どのような形の相互作用をもつ系でも容易に計算できるなどが挙げられる。
 これらを満たす新しい理論、「無限小変位ガウスローブ基底関数展開法」を発案し、最近では5体系まで実用化した。結果、この理論をハイパー核(核子とハイペロンから成る新しい原子核)、不安定核、ハドロン多体系、宇宙核物理、エキゾティック原子分子、冷却原子気体、ミュオン触媒核融合など、原子核物理学から原子・分子物理学などに広く応用し、それぞれの分野での新しい物理的知見を得てきた。たとえば、ハイパー核の世界では、ハイペロンという粒子を不純物と見立て、この不純物を原子核の中に注入することにより、原子核が収縮することを予言し、その後の実験結果と比較することによって、原子核の収縮現象を明らかにした。
 ここでは、「無限小変位ガウスローブ基底関数展開法」について解説をし、その計算法の応用例をいくつか紹介する。また、理研内における研究者や学生の生活、研究スタイルなども同時に紹介する。

q930.pdf
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