九大原子核セミナー

九州大学の原子核理論と原子核実験の共同開催のセミナー

第832回九大原子核セミナー

2007年10月5日(金) 16:00〜

講師:上村 正康 氏 (理化学研究所)
演題:超対称性粒子stauが触媒する新奇なビッグバン元素合成


概要 : 超対称性理論 (SUGY) によると、もし、最も軽い超対称性粒子が gravitino (graviton のSUGY partner、ダークマターの候補) であれば、次に軽い超対称性粒子は stau (scalar tau、スタウ) である。stau は lepton tau の SUGY partner であり、電荷は +1, 0, -1 があり、電弱相互作用、長寿命 (1000秒程度以上?) で、質量は 100GeV 程度以上? が予想されている。LHC で早期の発見が期待されており、昨今、stau に関する研究が盛んである。
 もし、stau が ビッグバン期(3分)を越えるほどに長寿命であれば、ビッグバンで生成された軽い核が負電荷 stau (X-と略記される) に捕まり、例えば、
(4He X-) などの 'atom' を作る(X-の周りを4Heが廻る)。この (4He X-) atom に重陽子 d が衝突すると 4He を pickup して 6Li を形成し飛び去る。この反応は核力に依って起こるため、通常のビッグバン6Li合成反応 4He+d→6Li+gamma 反応(E1 禁止)より 10の7乗倍も断面積が大きい。
 このような「stauが触媒する元素合成反応」は多種ある。このため従来のビッグバン理論は大きく修正される可能性があり、また素粒子 stau の生成過程・諸性質に関する制約も得られる可能性があり、最近、素粒子・原子核・宇宙に跨った多くの論文が発表されている。セミナーでは、このような一般情勢と講演者らによる研究 (3体反応理論による超低エネルギー組み替え反応計算ほか、PLB 650 (2007), 268) を紹介する。


場所 : 理学部・物理・大学院講義室 ( 理学部2号館2階2263室 )
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