九大原子核セミナー

九州大学の原子核理論と原子核実験の共同開催のセミナー

第874回九大原子核セミナー

2010年8月2日(月) 16:00

講師:柏 浩司 氏(九州大学)
演題:Nonlocal PNJL 模型を用いたQCD相構造の研究
場所:理学部・物理・第三講義室(理学部2 号館2階2249室)

概要 :
近年、量子色力学(QCD)の有限温度・実数化学ポテンシャルでの構造に大きな注目が集まっている。しかし、第一原理計算である格子QCD計算は有限の実数化学ポテンシャルでは計算が破綻し、近似を用いても実数化学ポテンシャルが温度よりも小さい領域しか調べることができない。その一方、有効模型計算は相互作用等に強い不定性が存在し、有限の実数化学ポテンシャルでは定量的な議論を行うことがこれまでできなかった。
そこで、虚数化学ポテンシャルに着目して研究を行う。虚数化学ポテンシャルは現実の世界とは異なる領域ではあるが、格子QCD 計算を厳密に実行できる。更に、虚数化学ポテンシャルは実数化学ポテンシャルと直接的かつ数学的な関係が存在する。このことから、虚数化学ポテンシャルにおいて有効模型と格子QCD計算の結果を比較し、模型の不定性を排除することで、実数の化学ポテンシャルの相構造を定量的に調べることができるようになると期待される。本セミナーでは、近年提案されたNonlocal Polyakov-loop extended Nambu{Jona-Lasinio模型を用いた解析を中心に紹介する予定である。
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第873回九大原子核セミナー

2010年7月30日(金) 16:00

講師:森川 恒安 氏(九州大学)
演題:A=30〜40中性子過剰領域の高スピン核分光と40Arの超変形状態
場所:理学部物理大学院講義室(理学部2号館2階2263室)

概要 :
原子核の超変形状態は大きな変形における原子核の殻構造を調べる上での理想的な実験場と考えられていて、実験・理論の両面から精力的な研究が行われてきた。超変形状態は実験的には特定の質量数領域: A=40, 60, 80, 130, 150, 190において見いだされてきており、超変形状態の発現には特定の陽子・中性子数で生じる超変形シェルギャップの存在が重要な役割を果たしていると考えられている。A=30〜40領域では、これまでに見つかった超変形核の系統性から、この領域でのN=Z=18, 20, 22の超変形魔法数に対応したシェルギャップの存在が示唆されていたものの、超変形が確認された核はいずれもN=Zのものに限られていた。一方、この領域の中性子過剰側には、N=20の中性子魔法数が消失し基底状態が巨大変形した、いわゆる「逆転の島」の存在が知られおり、安定核から「逆転の島」へ至る遷移領域での殻構造の変化も興味が持たれている。
最近我々は、中性子過剰のAr 同位体である40Ar核(Z=18, N=22)について超変形状態の探査実験を行い、この核にも超変形状態が現れることを明らかにした。セミナーではこの40Arの実験・解析結果などについて紹介する。
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第872回九大原子核セミナー

2010年7月16日(金) 16:00

講師:寺西 高 氏(九州大学)
演題:低エネルギーRI ビームによる不安定核の共鳴状態の測定
場所:理学部物理大学院講義室(理学部2号館2階2263室)

概要 :
不安定核の反応によって不安定核の性質を調べる実験はこれまでのところ主と
して核子あたり数10 MeV 以上の中間・高エネルギーRI ビームを用いて行われてきており、この方向では最近稼動開始した理研のRIBF によりさらなる発展が期待されている。一方、これと相補的な実験として核子あたり10 MeV 以下のRIビームによる低エネルギー実験も近年本格的に行われるようになってきた。
我々は核子あたり5 MeV 前後の軽い低エネルギーRI ビームを用いて核構造およ
び天体核反応の観点から興味のある共鳴状態を探索する実験を行ってきた。
今回のセミナーでは、陽子過剰核の(p, γ) 天体核反応に関連する陽子共鳴、陽子ドリップライン外側の非束縛核、および中性子過剰核におけるアイソバリック・アナログ共鳴などの実験研究を紹介する。

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