九大原子核セミナー

九州大学の原子核理論と原子核実験の共同開催のセミナー

第900回九大原子核セミナー

2012年7月6日(金) 16:30

講師:蓑茂 工将 氏 (九州大学)
演題:Eikonal reaction theory for neutron removal reactions
場所:理学部 物理大学院講義室(理学部2号館2階2263室)

概要:
 近年の実験技術の大きな進歩により, 不安定核の性質の解明は着実に進展し, その研究対象は比較的軽い中重核のドリップラインにまで迫っている. その代表例が31Neや33Mgなどの中性子過剰核であり, このような中性子ドリップライン近傍の中性子数20周辺領域はisland of inversionと呼ばれ, 現在注目を集めている. Island of inversion核に関して, これまで相互作用断面積や中性子除去反応断面積などの包括的断面積が測定されており, 数々の理論的解析がなされている.
 これまで不安定核反応解析に用いられてきた理論として, Glauber模型や連続状態離散化チャネル結合(Continuum Discretized Coupled Channels, CDCC)法が挙げられる. Glauber模型はアイコナール近似と断熱近似から構成される. しかし, Coulomb相互作用を無視できない条件下では, 断熱近似は断面積の発散という問題を引き起こす. 他方, CDCC法は分解反応を精度よく記述する理論であるが, 包括的断面積を計算できないという問題がある. そこで我々は, Coulomb相互作用を正確に取り扱った上で, 中性子除去反応の包括的断面積を計算するための新たな手法(Eikonal Reaction Theory, ERT)を提案した.
 本講演では, ERTの定式化を説明しGlauber模型との差異を明らかにした後, ERTを用いて31Neの1中性子除去反応を解析した結果を示す. また, 6Heの2中性子除去反応や9Cの陽子除去反応への応用例も合わせて紹介する.



q900.pdf
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