九大原子核セミナー

九州大学の原子核理論と原子核実験の共同開催のセミナー

第929回九大原子核セミナー

2016年2月23日(火) 13:30〜14:30, 14:50〜15:50

講師:緒方一介(大阪大学RCNP)

演題:量子散乱理論への招待 ―見えない世界をどう描くか?―

場所:理学部 物理学部門 物理 第2講義室 (ウエスト1号館2階 W1-B-212室)

概要:
 「量子力学は曖昧で、何ひとつ確定的な結論は下せない。」そう思い込んでしまっていませんか? もし本当にそうだとしたら、ミクロの世界を「研究・解明する」というのは、どのような意味なのでしょうか?
 この講義では、ミクロの世界とマクロの世界を繋ぐという観点から、散乱現象を記述する量子力学についてお話ししたいと思います。まず強調したいことは、曖昧なはずの量子力学が、加速器を用いて測定された実験データを正しく説明するということです。その様子を実際に見ることによって、量子力学の“確かさ”を実感してもらうことが、この講義の最大の目的です。その上で、実験と理論が連携し、ミクロの世界の性質を解き明かしてきた研究の実例をいくつかご紹介したいと思います。
 講義の後半では、今この瞬間も恒星内で起きている元素合成反応を地上でシミュレートする話や、大きな社会問題となっている核廃棄物処理を効率的に行う手法の模索についても触れる予定です。

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第928回九大原子核セミナー

2016年2月18日(木) 13:30〜15:30

講師:河野通郎(大阪大学RCNP)

演題:カイラル有効理論による核力のつくり方

場所:理学部 物理学部門 物理 セミナー室1 (ウエスト1 号館7階 W1-A-701室)

概要:
 近年、原子核の微視的記述に用いられる核力は、AV18, Nijmegen, CD-Bonnのような精密ポテンシャル模型に替わり、カイラル有効理論に基づいて構築される核力ポテンシャルが主流になっている。QCD の対称性とその破れの機構に基づいた有効核力であり、多体力を統一的・整合的に導入できる枠組みである。多体力は、消去されている自由度が関わるハドロンレベルでの多体効果と解釈することができ、Pauli原理が重要な役割を果たす。パラメトライズされた核力を用いる研究者も、カイラル有効理論の核力がどのようにつくられているかを知っておくことは重要である。湯川中間子論から始まる核力の理解と記述の進展を概観し、カイラル対称性の役割と低エネルギー展開に触れたのち、Okubo によるユニタリ変換法と、T 行列のFeynmann ダイアグラム計算による核力の構成法を、具体的な例によって説明する。


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第927回九大原子核セミナー

2016年2月03日(水) 16:30

講師:吉田 賢市(新潟大学)

演題:Proton-neutron pairing in spin-isospin responses

場所:理学部 物理学部門 物理 セミナー室2(ウエスト1号館7階 W1-A-722室)

概要:
Pairing is a profound emergent behavior in many-body systems consisting of fermions ranging from quarks to nucleons to electrons. In nuclear systems, a rich variety of low-energy phenomena have been successfully described in terms of the Bogoliubov quasiparticles. However, there are no evidences so far that support the superconductivity associated with the spin-triplet proton-neutron pairing despite a numerous experimental attempts. In this seminar, I am going to discuss mainly a possible occurrence of the isoscalar proton-neutron pairing vibration as a pre- cursory soft mode of spin-triplet pairing condensation. Furthermore, the roles of the isoscalar pairing on the low-lying Gamow-Teller modes of excitations and the beta-decay rates in neutron-rich nuclei relevant to the r-process nucleosynthesis will be also discussed.


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