九大原子核セミナー

九州大学の原子核理論と原子核実験の共同開催のセミナー

第932回九大原子核セミナー

2016年6月16日(木) 10:30〜12:00

講師:住吉光介(沼津工業高等専門学校)

演題:ニュートリノ・原子核物理による超新星爆発の解明

場所:ウェスト1号館7階 物理学部門会議室 (W1-A-711室)

概要:
 太陽の10倍以上の質量を持つ重たい星は、星の進化の最期に超新星爆発と呼ばれる華々しい天体現象を起こす。その後には中性子星が誕生し、様々な元素が産み出される。この現象は、重力崩壊により星が潰れたのち跳ね返り、重力エネルギーが解放されることによるものであるが、その爆発メカニズムの本質的な部分は未だ解明されていない。その理解の難しさは、高温高密度における物質の性質が定まっていないことや、極限状態におけるニュートリノ反応を伴う多次元ダイナミクスの記述が難しいこと、などの要因が重なっている。
 本講演では、超新星爆発とはどのような現象であるかの説明から始めて、そこで重要な役割を果たしている原子核物理について主に述べる。高温高密度における核物質の状態方程式データテーブルをいかに整備してきたか、超新星爆発に与える影響は何かを説明したい。こうした高温高密度物質の特性は、爆発に伴い放出される超新星ニュートリノの性質に現れる。爆発に失敗してブラックホール形成に至る場合には異なる特徴を持つことも判ってきた。
 このように状態方程式・ニュートリノの物理をつぎ込んだ数値シミュレーションが行なわれるようになって判ったことは、球対称計算では星が爆発しないことであった。観測から示唆されるように、爆発が多次元のもとで起きることは確実と思われるが、ニュートリノ加熱や流体不安定性などの複数要因が絡み合っており、爆発の引き金は未だ確定していない。残る課題の一つはニュートリノ輻射輸送計算の難しさにある。この複雑な問題を解くためにスーパーコンピュータ京を用いて行なわれている、最新の超新星爆発シミュレーションの現状までを伝えたい。

q932.pdf
九大セミナー | - | -

第931回九大原子核セミナー

2016年5月23日(月) 16:30〜18:00

講師:永田悦子(KEK)

演題:Z3-QCD模型による、QCDの非摂動論的現象の解明

場所:理学部 物理学部門 物理 第2講義室 (ウエスト1号館2階 W1-B-212室)

概要:
有限温度QCDの2つの非摂動論的性質である「クォークの閉じこめ転移」と「カイラル対称性の破れ」の間には関係があるか?、というのは長年の疑問である。本研究では、中心対称性を厳密に保った「Z3-QCD模型」を格子シミュレーションを用いて第一原理から計算し、中心対称性の破れと、カイラル対称性の破れの転移温度の比較や、高温相、低温相それぞれでの物理量の違いを数値的に調べた。
本講演では、その詳細結果と、今後の展望について議論する。

q931.pdf
九大セミナー | - | -
Calendar
<< May 2016 >>
SunMonTueWedThuFriSat
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
Categories
New Entries
Recommend
Archives
Profile
Other