第928回九大原子核セミナー
2016年2月18日(木) 13:30〜15:30
講師:河野通郎(大阪大学RCNP)
演題:カイラル有効理論による核力のつくり方
場所:理学部 物理学部門 物理 セミナー室1 (ウエスト1 号館7階 W1-A-701室)
概要:
近年、原子核の微視的記述に用いられる核力は、AV18, Nijmegen, CD-Bonnのような精密ポテンシャル模型に替わり、カイラル有効理論に基づいて構築される核力ポテンシャルが主流になっている。QCD の対称性とその破れの機構に基づいた有効核力であり、多体力を統一的・整合的に導入できる枠組みである。多体力は、消去されている自由度が関わるハドロンレベルでの多体効果と解釈することができ、Pauli原理が重要な役割を果たす。パラメトライズされた核力を用いる研究者も、カイラル有効理論の核力がどのようにつくられているかを知っておくことは重要である。湯川中間子論から始まる核力の理解と記述の進展を概観し、カイラル対称性の役割と低エネルギー展開に触れたのち、Okubo によるユニタリ変換法と、T 行列のFeynmann ダイアグラム計算による核力の構成法を、具体的な例によって説明する。
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