九大原子核セミナー

九州大学の原子核理論と原子核実験の共同開催のセミナー

第896回九大原子核セミナー

2012年3月19日(月) 16:00

講師:柏 浩司 氏 (理研BNL研究センター)
演題:虚数化学ポテンシャル及び強磁場系を用いたQCD相構造の研究

場所:理学部 物理大学院講義室(理学部2号館2階2263室)

概要:
 量子色力学の相構造を研究する上で格子QCDシミュレーションは非常に強力な手法である。しかし、有限の実数化学ポテンシャル領域では符号問題により格子QCD計算が破綻するため、現在のところ近似をもちいても温度が化学ポテンシャルを越える領域を調べることはできていない。そこで、有限実数化学ポテンシャルを調べるためQCDの有効模型が盛んに用いられているが、有効模型は不定性が非常に大きいため信頼できる相構造を得るには至っていない。つまり、”有効模型をどのように構築するのか”、”その際に使える条件をどのように得るのか”という事は有限温度・実数化学ポテンシャル領域でのQCD相構造を調べる上で非常に重要である。
 本発表では、近年注目を集めている”虚数化学ポテンシャル領域”と”空間一様な強磁場系”に着目し、模型構築に際してどのような制限を得ることが出きるかについて述べる予定である。特に、上記の両系はカイラル転移と非閉じ込め転移の非自明な相関を調べる事が出き
ると期待されている系である。

参考文献
K. Kashiwa, T. Hell, and W. Weise, Phys. Rev. D 84 (2011) 056010.
K. Kashiwa, Phys. Rev. D 83 (2011) 117901.


q896.pdf
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