九大原子核セミナー

九州大学の原子核理論と原子核実験の共同開催のセミナー

第903回九大原子核セミナー

2012年10月12日(金) 16:30

講師:坂口 聡志 氏 (九州大学)

演題:
アイソスピン一般化陽子弾性散乱と中性子スキン
“Isospin-generalized” proton elastic scattering and neutron skin

場所:理学部 物理大学院講義室(理学部2号館2階2263室)

概要:
 核物質の巨視的な性質は、状態方程式によって表される。特にその対称エネルギー項は、中性子過剰核や中性子星など非対称核物質の性質に重要な影響を及ぼし、広く興味を集めている。中性子スキンの厚さは対称エネルギー項に対する有力な情報源の一つであり、近年その測定方法として、巨大共鳴を用いる手法・電子散乱におけるパリティ非対称を用いる手法・陽子弾性散乱を用いる手法など様々なアプローチが模索されている。
 本セミナーでは、中性子スキン厚に対する新たなアプローチの可能性として、(p,n) 荷電交換反応によるアイソバリックアナログ状態(IAS) の励起を取り上げる。上記の(p,n)IAS 反応は、アイソスピン対称性の下、通常の陽子弾性散乱と等価であり、広義の弾性散乱と見なすことができる。通常の陽子弾性散乱は、光学ポテンシャルのアイソスカラー項によって誘起される。一方(p,n)IAS 反応はアイソベクトル項に起因するため、陽子分布と中性子分布の「差」に敏感であると期待される。本セミナーでは、阪大核物理研究センターで行った安定な錫同位体からの(p,n)IAS 反応測定について紹介し、その理論解析の手法について議論したい。



q903.pdf
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