九大原子核セミナー

九州大学の原子核理論と原子核実験の共同開催のセミナー

第849回九大原子核セミナー

2008年12月12日(金) 16:00

講師:上村 正康 氏 (理化学研究所)
演題:超対称性粒子スタウが触媒する新奇なビッグバン元素合成(その2)

概要 :
Big-bang nucleosynthesis and particle physicsと呼ばれる新しい研究領域に対して、核物理から定量性ある土台を提供するのが本研究の使命である(共同研究者: 柳田勉、浜口幸一、初田哲男、木野康志、肥山詠美子)。
超対称性粒子スタウ(stau, tau leptonのscalar partner)が、ビッグバンで合成された軽い元素を捕獲してエキゾティック原子を作り(1000秒程度以後)、新奇な元素合成反応を触媒し促進する可能性がある。スタウでなくとも、一般に、長寿命(10^3−10^4秒)で、負電荷の重い(>100GeV) レプトン、X^- と呼ばれる、であればよい。ビッグバンでの懸案の6Li-7Li問題を解決し、かつ、スタウ(X^-)の寿命やabundanceに制限を与え得る。
素粒子・原子核・宇宙に跨る新しい課題として最近話題となっているが、しかし、X^- に触媒された各種の元素合成反応の断面積について、精密な量子論計算(すべて3体・4体問題)による信頼性ある予言が不可欠である。
本講演者等はこれを実行し、この研究領域に核物理の精密な定量性を持ち込んだ。
CERNの LHC実験において スタウなどの超対称性粒子が Higgsに先駆けて発見される(2009年)ことが期待されており、タイムリーな話題でもあろう。同題目で1年前にセミナー講演したが、その後の発展(nucl-th/0809.4772)について述べる。

参考:
Masayasu Kamimura, Yasushi Kino, Emiko Hiyama

849.pdf
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