九大原子核セミナー

九州大学の原子核理論と原子核実験の共同開催のセミナー

第858回九大原子核セミナー

2009年6月19日(金) 16:30

講師:梅谷 篤史氏 (理化学研究所)
演題:中性子過剰ラムダハイパー核におけるシグマ混合の殻模型研究

概要 :

 ストレンジネス原子核を研究する目的として,(1) 陽子・中性子からなる核物質中にストレンジネスを含むハドロンを注入することで,これまで通常の原子核では見ることができなかった核物質の性質を明らかにすること,(2) ラムダ粒子などのハイペロンを埋め込んでできるハイパー核を分光学と核反応の理論解析を用いて調べることにより,バリオン間相互作用を統一的に理解することが挙げられる。
 我々は,ラムダハイパー核におけるラムダ-シグマ結合相互作用に注目している。コヒーレントなラムダ-シグマ結合の重要性が Akaishi et al. のヘリウムハイパー核の研究において指摘され,この結合による引力は中性子過剰な領域でより強まると期待されている。また,最近 Saha et al. によって,2重荷電交換反応 (π, K+) による中性子過剰ラムダハイパー核10ΛLiの生成が初めて行われており,中性子過剰な環境下でのラムダ-シグマ結合を検証できる可能性がある。そこで本講演では,リチウムハイパー核に対するラムダ-シグマ結合を考慮した殻 模型による構造研究の結果について,中性子過剰ラムダハイパー核10ΛLiを中心に議論する。858.pdf
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