九大原子核セミナー

九州大学の原子核理論と原子核実験の共同開催のセミナー

第956回九大原子核セミナー

2019年06月28日(金) 16:30〜18:00

講師: 中村 哲 氏 (東北大学理学部物理学科原子核実験研究室)
演題:電子ビームを用いた原子番号ゼロのハイパー核探索実験
場所:ウェスト1号館7階 物理セミナー室3 (W1-A-722室)

概要:nnΛは電荷を持たないハイパー原子核であり、従来のストレンジ核物理の常識では束縛しないと考えられている。
ところが、GSIにおいてイオンビーム衝突実験によりこのような状態が束縛するという実験結果が報告され、今、ホットな話題になっている。
しかし、この実験はエネルギー分解能、信号雑音比などが不十分であり、実験データとして確立しているというわけではない。
我々が、米国ジェファーソン研究所で展開してきた電子ビームを用いた高分解能のラムダハイパー核電磁分光実験の技術を使えば、標的に放射性物質である三重水素を用い
3H(e,e'K+) [nnΛ]反応を調べることで、このような状態の存否がはっきりする。
もし、束縛状態が見つからなかった場合であっても、ΛN相互作用に関して多くの知見を得ることができる。

JLabハイパー核実験国際共同実験グループは、2018年冬にジェファーソン研究所において実験を遂行し、データ収集を無事終了した。ハイパー核電磁生成分光実験技術、および実験の概要、解析の現状について説明する。

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第955回九大原子核セミナー

2019年06月21日(金) 16:30〜18:00

講師: 富樫 甫 氏 (九州大学理学付理論核物理研究室)
演題:高密度物質の状態方程式とコンパクト天体現象
場所:ウェスト1号館7階 物理セミナー室3 (W1-A-722室)

概要:高密度核物質の状態方程式(EOS)は、重力崩壊型超新星爆発や中性子星などのコンパクト天体現象の研究において重要な役割を担う。近年我々は、量子多体変分計算の手法として代表的なクラスター変分法を用いて、現実的核力に基づく新しい核物質EOSの数値テーブルを構築した。本セミナーでは、この新しいEOSの構築手法や性質について、他の多体変分計算の結果と比較しながら紹介していく。さらに、得られたEOSを中性子星や球対称超新星爆発シミュレーションに適用した結果も報告し、核物質EOSがこれらのコンパクト天体現象に与える影響について解説する。またセミナー後半では、最近の研究成果として、クラスター変分法を用いた高密度物質内部におけるハイペロン混合の研究についても併せて報告することを予定している。


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