九大原子核セミナー

九州大学の原子核理論と原子核実験の共同開催のセミナー

第910回九大原子核セミナー

2013年5月31日(金) 16:00

講師:相良 建至 氏 (九州大学・共同研究員)

演題:3核子系実験と未解明の現象

場所:理学部 物理大学院講義室(理学部2号館2階2263室)

概要:
九大での約25年の3核子精密実験及び世界での主な3核子実験で明らかになり、今後の理論的解明を待っている多くの“3核子の謎”を紹介する。
3核子系実験の主目的は、1)3核子力、2)off-energy-shell相互作用、を発見することと言える。精密な実験を正確なFaddeev計算と比較して不一致(謎)があれば、その原因は1)か2)の核力であろうと思われるので、それを見つければよい。過去に多くの不一致が見つかったが、解明できたのは残念ながら藤田−宮沢型のππ3核子力だけである。解明を待っている多くの不一致は、

  1. ππ3核子力以外の3核子力が原因と思われるもの(100MeV以上での不一致)

  2. 3核子力以外が原因と考えられるもの(20MeV 以下での不一致)

に大別される。
永年の精密な3核子実験でデータはほぼ揃った。不一致も出揃った。ぜひとも野心的な理論家がこれら不一致の解明に挑戦して、果実を摘み取って頂きたい。

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第909回九大原子核セミナー

2013年5月24日(金) 16:00

講師:緒方 一介 氏 (阪大 RCNP)

演題:炭素22の非束縛励起状態の存在形態

場所:理学部 物理大学院講義室(理学部2号館2階2263室)

概要:
現在、不安定核物理のフロンティアとして注目されているのが、原子核の存在限界線(ドリップライン)の外に位置する非束縛核と、ドリップライン付近の原子核の励起状態である。これらはいずれも、粒子放出に対して不安定な粒子共鳴状態であり、入射ビームとしては存在することができない。RCNP理論部のグループでは、この非束縛核/非束縛状態の生成から崩壊までを微視的反応論によって記述する事により、その存在形態の解明と崩壊様式の特定を進めている。
本講演では、炭素の中性子ドリップライン核であり、2中性子ハロー核と考えられている炭素22を取り上げる。炭素12標的を用いた分解反応によって形成される炭素22の非束縛励起状態が、観測量にどのように現れるかを理論的に予測し、その結果について考察する。併せて、非束縛核/非束縛状態の探究に関わるRCNP理論部の最近の研究についても簡単に紹介したい。


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