九大原子核セミナー

九州大学の原子核理論と原子核実験の共同開催のセミナー

第922回九大原子核セミナー

2015年1月13日(火) 16:30

講師: 肥山 詠美子 (理化学研究所)

演題:厳密少数多体系計算法の確立とその展開

場所:理学部 物理大学院講義室(理学部2号館2階2263室)

概要:
 現代物理学における最近の重要課題の一つは、ミクロの世界の様々な少数量子系(特に、3体系・4体系)のシュレディンガー方程式を精密に解いて研究することである。少数多体系のシュレディンガー方程式は、多くの場合、変分法を用いて解くことになるが、その際に最も重要なことは、1)全系の物理的状況に適した基底関数を用いる、2)エネルギー行列要素多重積分が容易に計算される、3)どのような形の相互作用をもつ系でも容易に計算できるなどが挙げられる。
 これらを満たす新しい理論、「無限小変位ガウスローブ基底関数展開法」を発案し、最近では5体系まで実用化した。結果、この理論をハイパー核(核子とハイペロンから成る新しい原子核)、不安定核、ハドロン多体系、宇宙核物理、エキゾティック原子分子、冷却原子気体、ミュオン触媒核融合など、原子核物理学から原子・分子物理学などに広く応用し、それぞれの分野での新しい物理的知見を得てきた。セミナーでは、「無限小変位ガウスローブ基底関数展開法」を説明し、その後、その応用例の一つとして、冷却原子の最近の研究について報告する。


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第921回九大原子核セミナー

2014年12月18日(木) 15:00

講師: 富谷 昭夫 (大阪大学)

演題:カイラルフェルミオンを用いた高温QCDにおけるU(1) アノマリーの解析

場所:理学部物理第三講義室(理学部2 号館2 階2249 室)

概要:
 最近の研究で、高温QCDにおいてSU(2)L  SU(2)R のカイラル対称性とともに、量子異常のある軸性U(1) 対称性が回復するという可能性が示されている。格子シミュレーションをつかったほぼ全ての先行研究では、軸性U(1) 対称性の回復については、否定的な結論が得られていた。しかしながら、それらのシミュレーションでは、数値計算コストの問題からカイラル対称性を持たないフェルミオンが使われきた。
 本研究の目的は、カイラル対称性を精密に保ったフェルミオンを用いた数値計算により、この軸性U(1) 対称性の回復の有無を判定することである。今回は、これらの軸性U(1) 対称性の有無と密接な関係のあるDirac 演算子の固有値分布に現れるギャップについて、その体積依存性、クォーク質量依存性、そして有限格子間隔からくるカイラル対称性の破れの影響について議論する。


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