九大原子核セミナー

九州大学の原子核理論と原子核実験の共同開催のセミナー

第838回九大原子核セミナー

2007年2月8日(金) 16:00〜

講師:浜田 政智 氏 (九州大学)
演題:閉じ込め相と非閉じ込め相におけるクォーク


概要 : 格子QCD計算によって、閉じ込め-非閉じ込め相転移温度近傍において、クォークの振る舞いを決めるクォークプロパゲータという量を解析した。QCDにおいて、“クォークの閉じ込め”は基本的な特徴でありながら、その詳細な性質に関しては、未知の部分が多く残されている。その一方で、有限温度の系を考えると、クォークが閉じ込めから解放されたクォーク-グルーオンプラズマという状態が実現する。そのため、まず第一にクォークが閉じ込められている状態とクォークが閉じ込めから解放された状態において、クォークがどのような点で異なる振る舞いを示すかを調べた。
 上述のクォーク-グルーオンプラズマは、実験でも実現されつつあり、非常に注目を集めているトピックの1つである。しかし実験で実現されつつあるこの状態では、クォークは閉じ込めから解放されているが、まだまだ非常に強く結合していると考えられている。そのため、従来、考えられていたクォークが自由粒子として振る舞うという描像は、成り立っていないと思われる。それならばこの時にクォークが、どのような質量をもち、どのような励起状態をとるのかという点は、非常に興味深いことであるため、第二にこの点に焦点をあてる。
 そして最後に、QCDのもう1つの重要な特徴であるカイラル対称性とクォークの閉じ込めの関係について、議論する。これら二つの特徴は、有限温度系でみたときに、ほぼ同時に相転移を起こす点からも、密接に絡み合っていると考えられている。クォークプロパゲータという量には、カイラル対称性に関する情報も含まれているため、この関係性を調べるのにも非常に有効であると考えられる。

場所 : 理学部・物理・大学院講義室 ( 理学部2号館2階2263室 )

案内状:
838.pdf
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