九大原子核セミナー

九州大学の原子核理論と原子核実験の共同開催のセミナー

第854回九大原子核セミナー

2009年4月17日(金) 16:30

講師:相良 建至氏 (九州大学)
演題:3核子系の謎解明と天体C+α反応速度測定の現状

概要 :

3核子系の研究には2つの課題、短距離3核子力の探索と低エネルギー3核子反応の謎解明、が残っている。1957年に藤田-宮沢論文でππ3核子力が指摘されて以来、多くの理論・実験を経て、1998年にその強さが決定された。九大タンデムでの実験もこのππ核子力決定に寄与した。次は、より重い中間子を交換する短距離型のπρ3核子力やρρ3核子力の強さ決定である。九大グループはこれら短距離型3核子力の証拠を探して、RCNPでpd capture、pd breakupの実験を続けている。
 一方で、3核子力では説明できないAy puzzleやspace star anomalyという謎の現象が10MeV 近傍にある。Ay puzzleの原因はヒントが得られているが、space star anomalyは全く原因不明である。今九大では、space star anomalyの特徴を知るための系統的実験を行っている。特徴から何らかのヒントを得たい。

 天体C+α反応(Ecm=0.3MeV)速度測定は、40年に及ぶ世界的競争であり、九大でも15年前から実験準備をしてきたが、未だゴールに達していない。それほどの難実験である。
 12C+α→16O+γの0.3MeVでの断面積(〜1pbarn)を測るには、逆反応ではなく順反応の実験で、γでなく荷電粒子の16Oを検出する、しかない。九大とドイツRolfsのグループだけがこの方法を採っている。九大では科研費SでEcm=2.4MeVでの測定に成功して以来、なかなか低エネルギーに進んで行っていない。技術的問題よりも実験チーム事情が大きい。今年8月にパーマネント(5年+5年)の助教が加入するので、一気に実験進行を加速させたい。計画では、あと3年間でEcm=0.7MeVまでの測定を終え、その後0.7MeV→0.3MeVへ実験データを外挿する。この外挿では核理論の方々のご協力をお願いしたい。854.pdf
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