九大原子核セミナー

九州大学の原子核理論と原子核実験の共同開催のセミナー

第918回九大原子核セミナー

2014年6月13日(金) 16:30

講師: 田上 真伍 (九州大学)

演題:原子核における四面体変形

場所:理学部 物理大学院講義室(理学部2号館2階2263室)

概要:
 近年の平均場理論の計算により、原子核でこれまであまり調べられていない新たな変形の存在が予想されている。それらはエキゾチック変形と呼ばれ、その一つに四面体変形がある。四面体変形した状態は特定の陽子数または中性子数の原子核で特に安定となる。これらの特定の粒子数は四面体変形の変形魔法数であり、陽子数と中性子数がともに変形魔法数である原子核を四面体変形の閉殻核と呼ぶ。
 我々は微視的な理論手法の一つである量子数射影法を用いて、四面体変形した原子核の研究を行ってきた。量子数射影法は平均場近似で破れた対称性を回復させる手法であり、平均場近似においてはエネルギー的に縮退した異なる変形の向きの状態を重ねあわせることで、対称性の回復した状態すなわち量子数の良い状態を求める方法である。量子数射影法では系のハミルトニアンが与えられれば一意的にエネルギースペクトルを求めることが出来る。
 これまでに我々は、四面体変形した閉殻核とそれに粒子の一つついた奇核のスペクトルの計算を行っている。このようなスペクトルを解釈する際に離散的な回転とパリティ反転の群論である点群が大いに役立つ。講演では、点群の基本的な内容に触れた後、量子数射影法で求めたエネルギースペクトルを示す。また、平均場計算と量子数射影法で用いる相互作用に現実的なGogny相互作用を用いた結果についても述べる。

q918.pdf
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