九大原子核セミナー

九州大学の原子核理論と原子核実験の共同開催のセミナー

第901回九大原子核セミナー

2012年7月13日(金) 15:00

講師:佐々木 崇宏 氏 (九州大学)
演題:
有効模型を用いた2+1フレーバーQCD相構造の解析
(Model approach to the 2+1 flavor QCD phase diagram)

場所:理学部 物理大学院講義室(理学部2号館2階2263室)

概要:
 現在のクォークは核子中に閉じ込められているが、宇宙初期の高温状態では閉じ込めから解放されたプラズマ状態にあった。これらの状態間で起こった相転移を理解するためには、有限温度・有限化学ポテンシャルでのQCD相図を解明する必要がある。しかし, QCDの第一原理計算である格子QCD計算が有限 領域で実行困難であるため,QCD相図の解析にはPolyakov-loop extended Nambu-Jona-Lasinio模型(PNJL 模型)などの有効模型が広く用いられている。
 近年我々はPNJL 模型の拡張として, Polyakov loop に依存した有効相互作用をもつEntanglement PNJL 模型(EPNJL 模型)を提案した。本講演では, 2+1 フレーバー系に対するPNJL 模型およびEPNJL 模型を用いて解析した2 つの結果について紹介する。1 つ目は, 純虚数化学ポテンシャル領域の臨界点であるRoberge-Weissendpoint のクォーク質量依存性である[1]。この依存性は格子QCD 計算による計算がすすめられており,EPNJL 模型を用いることでその結果を定性的に再現できることを示す。2 つ目はQCD 相図に対するθ真空の効果の計算である[2]。QCDラグランジアンにはトポロジカルな性質を表すパラメーターθが含まれており, 有限のθでの格子計算は困難である。(E)PNJL 模型を用いてθの効果を解析した結果, カイラル相転移の次数はθに伴い強くなり,ゼロ密度における相転移が一次相転移になる可能性が得られた。

[1] T. Sasaki, Y. Sakai, H. Kouno, and M. Yahiro, Phys. Rev. D84 (2011) 091901.
[2] T. Sasaki, J. Takahashi, Y. Sakai, H. Kouno, and M. Yahiro, Phys. Rev. D85 (2012) 056009.



q901.pdf
九大セミナー | - | -
Calendar
<< July 2012 >>
SunMonTueWedThuFriSat
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
Categories
New Entries
Recommend
Archives
Profile
Other