九大原子核セミナー

2013年7月17日(水) 17:00

講師：鈴木 賢二 氏 (九州工業大学 シニア・アカデミー)

演題：有効相互作用理論の歴史と展望

場所：理学部 物理大学院講義室(理学部2号館2階2263室)

概要：
核力から出発して、原子核の諸性質を導くという問題は、G-行列理論の登場から数えても60年以上にもなる。幾多の人々がこの問題に挑戦し、現代に引き継がれている。問題は依然として、１つは核力の問題であり、他方は多体理論の方法論的問題である。
有効相互作用理論とは、殻模型空間で作用する「等価な」相互作用を導入し、全ヒルベルト空間で解かれるべき解と同じ解を導く理論的枠組みのことである。初期の摂動論的方法から、Folded Diagram 展開、さらには Q-box 理論、Iterative Solutions、Z-box 理論、Krylov 部分空間理論の応用等、その歴史的発展について紹介したい。
Kuo氏を交えたイタリアのグループは、最近、数々の論文のなかで、「もはや、方法論的な問題は全て解決され、後は応用の範囲を広げていくだけで良い」と主張している。はたしてこれは本当だろうか。これこそ、現代の有効相互作用理論の最大の問題かもしれない。Kuo氏達の主張を検討し、今後の課題についても触れたい。

2013年7月12日(金) 17:00

講師：三宅 泰斗 氏 (東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻)

演題：福島第一原子力発電所事故起源の放射性ヨウ素同位体比の推定
Estimation of isotopic ratio of radioactive iodine released from Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident

場所：理学部 物理大学院講義室(理学部2号館2階2263室)

概要：
ヨウ素129を通じたヨウ素131の遡及的的再構築を行うためには、原子炉から放出されたヨウ素の同位体比（129I/131I）を知ることが 重要である。本研究では、福島第一原子力発電所事故後に採取され、ヨウ素131が既に測定された表層土壌について、ヨウ素129を加速器質量分析にて測定し、ヨウ素131との事故当時の同位体比を推定した。発表においては、実験方法、バックグラウンドの考察、ORIGEN2コードの計算結果との比較等、研究の進捗状況について報告する。

2013年7月12日(金) 16:00

講師：松崎 浩之 氏 (東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻)

演題：129I-AMSを利用した地球環境科学の研究（自然システムと人為起源システム）
Earth environmental study using 129I-AMS: natural system and anthropogenic system

場所：理学部 物理大学院講義室(理学部2号館2階2263室)

概要：
はじめに東京大学タンデム加速器研究施設（MALT）におけるヨウ素129AMSシステムを紹介する。ついで、応用研究として、地球環境中の自然界におけるヨウ素同位体システム、人為起源ヨウ素129によって形成される新しい同位体システムを概観し、現在までに分かっていることと今 後の課題について議論する。